暴走本棚2

物語中毒の9が読んだ本をメモしていく、読了本メモ場です。

アイの物語

2010.05.31 Monday 03:05
評価:
山本 弘
角川グループパブリッシング
¥ 860
(2009-03-25)

人類が衰退し、マシンが君臨する未来。食糧を盗んで逃げる途中、僕は美しい女性型アンドロイドと出会う。戦いの末に捕えられた僕に、アイビスと名乗るそのアンドロイドは、ロボットや人工知能を題材にした6つの物語を、毎日読んで聞かせた。アイビスの真意は何か?なぜマシンは地球を支配するのか?彼女が語る7番目の物語に、僕の知らなかった真実は隠されていた―機械とヒトの新たな関係を描く、未来の千夜一夜物語。(内容ブックデータベースより)
■ひとつひとつの短編の読了満足度は決して高くないのだけれど、(ちょっと物足りないものも多い)合間にはさまれた幕間部分とともに読むと、「物語」というより「物語論」になっていて、その「物語論」が実に心を打つ。
■「作者をキャラクターと同一視してはいけないわ。むしろキャラクターと同一視するべきなのは読者よ」「ヒトは存在しないキャラクターにも感情移入してきたわ。それが現実かどうかなんて実はたいした問題じゃない」「物語の価値が事実かどうかなんてことに左右されないということを、物語には、時として事実より強い力があるということを」「ヒトは知らず知らずの内にたくさんのフィンクションの中で生きている。善行をつめば天国にいける、この戦争は正義だ。この浄水器で作った水を飲めば健康になる。あの民族を根絶やしにすれば世界は良くなる・・・生まれてから死ぬまで、自分たちの脳内にしかない仮想現実に住んでいる」
■中島梓の「我が心のフラッシュマン」を思い起こさせる。小説としてより、物語論として読むと逸品だと思う。
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